【測量】 ドローンの資格は役立つのか? 将来性や求人は?東亜サーベイ株式会社様にリサーチ

ドローンビジネス 卒業生インタビュー 栃木県のドローンスクール

東亜サーベイ株式会社田﨑社長画像

新たな街づくりや建設の土台として欠かせない業務であることから、ニーズもやりがいもある「測量」。これまで人の手で行われてきた測量も、ここ最近ではドローン(UAV)による三次元測量が推奨されるなど大きな転換期を迎えています。

 そこで今回、栃木県宇都宮市で約50年にわたり測量・土木設計を主とした建設コンサルタント業務を展開している東亜サーベイ株式会社様(以下、東亜サーベイ)を訪問。代表取締役の田﨑瑞穂さんと技術本部部長代理兼地理空間情報マネジメント室長の小塚茂さんに、測量界に就職を目指す人に向けてのアドバイスやドローン資格と採用基準についてお話しを伺いました。

東亜サーベイ株式会社田﨑社長画像

今回の対談相手
東亜サーベイ株式会社
代表取締役 田﨑瑞穂さん
技術本部部長代理兼地理空間情報マネジメント室長 小塚茂さん

まずは測量とドローンの新しい形を知ることから

「i-Construction(アイ・コンストラクション)」について

本題に入る前に、ここでひとつ質問です。
国土交通省が2015年11月に発表した「i-Construction(アイ・コンストラクション)」をご存知でしょうか?

聞き慣れない言葉ですが、建設業のあらゆる過程にICT技術を導入し、生産性向上や経営環境の改善を推進するプロジェクトの総称です。人口減少社会でも経済成長を図るために作られました。

以下はi-Constructionの一文です。
「調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を利用し、2025年までに生産性2割向上を目指す」
と具体的な目標まで書かれています。
つまり、ICTを活用して生産性をあげることが肝だということがお分かりいただけるかと思います。
ここでいうICTは建設業に特化した情報通信技術を指しますが、測量を含む建設業全般にICTを積極的に取り入れる柔軟さと操作スキルが求められる時代になったと言えるでしょう。
中でもとりわけ稼働が目立っているICTがドローンです
特に測量の分野では、ドローンを使った三次元測量が推奨されており(その理由はこの後記載します)、現代の測量とドローンは切っても切れない関係なのです。

測量会社に就職するのに必要な資格は?

測量士の資格が有効です。ほかに、測量士補の資格も有効です。

測量界の歩みは?

測量の歴史は古く、日本では大化の改新(645年)時には測量術が用いられており、日進月歩を遂げてきました。
1980年代からは、測量点からの距離や角度を測定し測量データを座標に変換する「トータルステーション」と呼ばれる機器が台頭し、2000年代に入ると、秒間数十万を超えるレーザを発射し点ではなく面で測量する3Dレーザスキャナが使われるようになりました。

今日の測量は?

現在、建設業全体の作業効率化のために測量の分野においてはドローンを用いた三次元測量が推奨されています。
その理由は、現場とまったく同じ環境を点群と呼ばれるデータからパソコン内に3D展開するためです。この3次元データは「デジタルツイン」と呼ばれ、業界で主流になっています。
近年ではGIS(地理情報システム)の発達もあり、プログラミングされた座標を登録することでドローンが作業現場へと飛ぶことが可能になりました。

田﨑社長これまで困難だった森林や険しい場所での測量も、レーザ測量機を搭載したドローンが上空からデータを取得し、専用ソフトウェアがデータを読み取り「デジタルツイン」を作ります。これにより、急な設計変更でも3Dデータを確認することで柔軟に対応・判断することができます。従来は変更の度に人員を現場に派遣することもありましたが、デジタルツインを作ることでそうした手間を省け、コスト削減が可能になります。

 デジタルツインを作るためにドローンは無くてはならない存在です。

ドローンはどのタイミングで使われている?

東亜サーベイでは平成28年からドローンを使用しています。使用する目的は以下3つです。

ドローンの使用目的
1.建設現場での公共測量時
2.
 台風・地震など災害時の被害状況把握依頼時
3.オープンデータの製作依頼時

1の公共測量については、一般的な測量現場を指します。
2の災害時の被害状況把握依頼は、おもに官公庁からの依頼で緊急出動する場合を指します。
3のオープンデータについて、地方自治体は地域の3Dデータがオープンにされることで防災や災害対策に利用できると考えています。
例えば、土砂災害が起こる前のオープンデータがあれば、災害後の被害状況をデータ化し比較することで状況や対応策が明らかになるといった具合です。
こうしたことから、ドローンを用いた測量実績のある会社や測量団体が地方自治体と連携する動きが高まっています。

国は地域の情報を、国土交通省は都市の情報を統合・可視化するプロジェクトとして2020年に「PLATEAU」を立ち上げました。特設サイトには「3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化のエコシステムを構築することで、まちづくりのデジタル・トランスフォーメーションを推進する」と書かれています。

ドローンはどのように飛ばしている?

測量の現場が決まったら自由に飛ばしても構わないのでしょうか。

田﨑社長ドローンを飛ばす大前提として航空法の遵守は必須条件です。さらに発注者である公共団体が定めた公共測量作業規程に則って飛行しています。

ドローンを使った測量を行う場合、依頼ごとに撮影内容や写真の精度について依頼基準や作業手順が定められていました。
マニュアルは業界で統一されているもので、請け負う会社側は、依頼内容とマニュアルを参照し、最適なドローンおよびソフトウェアを選ぶ必要があるようです。

小塚室長弊社は航空法第132条の規定により、ドローンの飛行について許可・承認(DID地区での飛行・目視外飛行・物件から30m以内の飛行)を受けています。また、国土交通省に申請している機体はDJI MATRICE 350 RTKをはじめ6台を保有、パイロットは6人で、うち1人が民間のライセンスを所持しています。

測量で使用しているドローンイメージ

ドローン測量で気をつけていることは?

実際の測量会社では何に気をつけているのでしょうか。

小塚室長機体も重いため事故を起こすことがないよう、細心の注意を払っています。また、航空法に従い、飛行の方法、飛行の場所が制限されている現場は、航空法により許可・承認を受けた者が飛行を行います。

ちなみに国家資格保有者のみ認められている飛行は以下の9つを指します。

国家資格保有者に認められている飛行
1.上空150m以上の飛行
2.危険物輸送を伴う飛行
3.空港周辺の飛行
4.物件投下(液体を含む)を伴う飛行
5.イベント上空の飛行
6.人や物との距離が30m以内となる飛行
7.夜間飛行
8.目視外飛行(機体を目視できない状態での飛行)
9.人口集中地区上空の飛行

小塚室長航空法や関連法令を学んでいても、毎回、ドローンを飛ばすときは安全を最優先に何度も確認をしています。また、万が一に備えて、飛行範囲下にある住民のみなさんや施設には予めドローン飛行の告知をしたり、飛行時には監視員を置いたりと丁寧に対応しています。そうした慎重さが何より必要だと思います。

東亜サーベイ株式会社田﨑社長とドローンの画像

ドローン資格取得者の採用基準は?就職に有利になる?

測量の分野においてこれだけたくさん活躍するドローン。国家資格や民間ライセンス所持者は測量会社の採用に有利になるのでしょうか?

田﨑社長弊社では測量士の有資格者を募集しています。測量士でかつドローンの有資格者だという場合は重宝されることでしょう。 

小塚室長弊社でも民間ライセンス所持者は1人です。国家資格が必要な案件は未だありません。ただ、ドローンはこれまでの測量と異なり、さまざまなルールを守らないと思わぬ事態を招くことがあります。そのため測量士でも航空法や航空力学、気象や法令、アプリの操作設定などが分かっている人材は一から教える必要がないので助かります。

ただし、次のような声も聞かれました。
たとえば営業など、他部署のスタッフでもドローン測量について質問に答えなければならない場面もあります。分からないからと言って断ってしまえば損失ですし、安易にOKを出すことも危険。そんなとき、民間ライセンスなど有資格者であれば仕事の見通しを立てることができます。
測量に関係した部署も視野に入れることでスキルが武器となり、広がりを見せるかもしれません。

今後のドローン測量の展望は?

国土交通省が後押しするi-Constructionによって、今後、ますます測量界ではドローンを使った3D測量が増えていくことと予想されます。

また、新たな試みも生まれています。
2022年9月、東亜サーベイが所属する(一社)栃木県測量設計業協会が、ドローン測量を防災に活かす訓練に参加しました。「上三川町とのデジタル防災訓練」です。
この訓練に東亜サーベイスタッフを含む37人がデジタル防災訓練に参加しました。上三川町が震度6強を観測したと想定し、調査困難箇所のドローンによる撮影・電送、点群データを宇都宮国道事務所に電送する訓練を実施したのです。
測量という業務を超え、地域の安全を守る防災という新しい扉が開いた瞬間です。

田﨑社長弊社でも日々、ドローンを業務に取り入れています。官公庁の仕事がメインのため、より安全、安心なドローン運営を行っております。ぜひ測量士の資格とあわせて、ドローンスキルを活かしてください。

まとめ

測量会社でドローンの資格は充分役に立つことが分かりました。
ただし測量士としてドローンを飛ばすのが大前提です。そのため、測量士の資格がない場合は資格を取得するか、他部署で求人があるかチェックするのも手かもしれません。ドローンについて詳しく知っていることで、一目置いてもらえる可能性もあります。
また、防災分野のようにドローン測量が業務の枠を越えてさまざまな広がりを見せている点から、新たな仕事の期待も持てます。

今はまだ、国家資格や民間ライセンスがなくてもドローンを飛ばすことができます。しかし東亜サーベイのドローン測量現場では、事故を防ぎ航空法に抵触しないよう細心の注意が払われていました。こうした現状から、近い将来、ドローン飛行に資格が義務づけられることも十分考えられます。測量業界で就職を考えている方は、この機会にドローンについて学んでみてはいかがでしょうか?

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