国家資格となったドローン操縦が活かせるお仕事8選

ドローンビジネス 栃木県のドローンスクール

スマートフォン市場が成熟したことで、GPSやカメラ、各種センサー、優れたバッテリーなどたくさんのデバイスが安価に手に入れられるようになりました。こうした背景はドローン市場にも影響を与え、「空から見る」ことを低価格化させたわけですが、今では新しいルールのもと、業務としての空撮、測量や点検、エンターテインメントなど多様な分野でドローンが活躍しています。

株式会社インプレスが発行した「ドローンビジネス調査報告書2023」によれば、2028年には、ドローンビジネス市場が5000億円を超えるという右肩上がりのデータもあるほど。まさに躍進を遂げているといっても過言ではありません。

そこで今回は、盛り上がりを見せるドローンビジネスにおいて、実際に操縦が活かせる具体的な仕事8選をご紹介したいと思います。

建設・建築、土木関係

なんといっても、建設・建築、土木関係におけるドローン参入のニーズは毎年着実に伸びており、これから必須の時代になっていくことでしょう。
もともと国土交通省が2015年11月に発表した「i-Construction(アイ・コンストラクション)」では、建設現場のあらゆる過程にICT技術を導入し、生産性向上や経営環境の改善を行うことを推奨したことがこれらの契機になっています。

足場の不安定な場所や山奥など、人間が足を運ぶにはリスクや時間のかかる場所での「点検・調査」や「測量」に無人化対策としてドローンの活用を見出すことは、i-Constructionを実施する上で必要です。特に栃木県はへき地の多い県。人材の有効活用を考慮すれば、i-Constructionの有無にかかわらずドローン推進はますます進みそうです。

また、国・自治体が発注する工事は、おのずとi-Constructionに則って行われることが多いため、仮に自治体関係の入札案件があった場合、ドローンを使った業務を展開できることやドローン国家資格保持者が在籍していることは会社にとってもPRの材料になることは間違いなさそうです。

次に建設・建築、土木関係での具体的な内容を見ていきましょう。

「点検・調査」×ドローン

トンネル内部や橋梁の下など、点検を怠ることができない公共インフラで、ドローンを使った点検が普及し出しています。ただし、GPSが入らない問題や高所での強風などに耐えうる高い技術力が求められるため、最低でも一等無人航空機操縦士という技能証明は欲しいところです。

ほかにもドローンによって点検・調査が行われている場所として、ダム、送電網、基地局鉄塔、下水道、プラント、風力発電、船舶、天井、屋根裏空間などいずれも人間が入るのには危険な場所であったり、狭く確認しにくい場所であったりがあげられます。

企業によっては補修剤をドローンに蓄え、コンクリートのひび割れ部分を補修する吹付ドローンなるものの開発や、個人宅や商業施設、マンションなどのソーラーパネルや外壁の点検・調査を行うといった展開がもたらされています。

「測量」×ドローン

マンションや工場などの建設に土地の状態を知るために必要となる測量。広大な土地の場合、地上を人員で測量するとなれば大変な時間と労力がかかります。あまりにも広さがある場合において、これまでは飛行機を飛ばすこともありましたが、その際にかかる費用はとても高額でした。そこで、ドローンで測量が可能な中規模測量範囲案件(測量範囲が5ヘクタール以上)の場合には、ドローンを用いることが時間短縮・コスト削減の効果に直結しています。

また、従来の測量方法ではデータが正確に取れていなかった場合の「やり直し」に時間を取られますが、ドローンであれば、やり直しによるダメージを受けにくいメリットがあります。ほかにも、工事の進捗を確かめるためにドローンを使うなど、時間を短縮し合理的に仕事を進めることで、結果的に無人化=コスト削減へと繋がっていきます。

ただし、あくまで測量は測量技師によって測られるものです。測量技師が必要とするデータをドローンによってどう取得するかを考える必要があります。

最近では、土量計算、出来形管理、3Dモデルなどさまざまなアプリケーションも開発されているので、測量技師の有資格者がドローンの国家資格を取得することでより多角的な仕事へと発展させることが可能になります。測量部門を持つ企業はそれぞれの強みを生かしつつ、ドローンおよび既存またはオリジナルアプリケーションを取り入れているようです。

映像製作会社

近年では個人が映像を気軽に制作できる環境もあり、映像製作会社にかかわらず誰もが情報を発信することができる時代になりました。それゆえ、ドローンを使った空撮映像はこれまで私たちが簡単に取り入れられなかった空から目線を入れられるとあり、他社と差別化できるインパクトある映像を発信できます。

CM、ドラマ、映画撮影、観光PR、ニュースと空撮を取り入れている映像は今や数多く存在します。
ただし闇雲に空撮撮影できるものではなく、航空法によりドローンで撮影禁止・制限がかかるエリアが存在しますので、必ず基礎知識を学んでからの実践をお勧めします。

栃木県にはお馴染みの牧場やアミューズメントパークもありますが、空撮に限らず、自社PR動画に屋内の様子をドローンで撮影することも可能です。例えば、工場の様子やスポーツジムの雰囲気、子どもの習い事教室内や老人ホームなど視聴者が欲しい情報を俯瞰して見せることで全体を把握しやすく次のステップに繋げやすくなります。

エンターテインメント

コロナの規制緩和を受け、各地でイベントが復活しています。2の映像制作会社でも同じことが言えますが、観客を集めて行うコンサートやライブを上空から撮影する方法は近年よく見られる手法です。また、イベント演出の一環として、ドローン映像をエンターテインメントとして会場に流したり、ドローンの機体に装飾を施して闇夜に飛ばしたりといった演出も多くなってきました。記憶が新しいところでは、2022年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの開会式で披露されたドローンショーを思い出される方も多いのではないでしょうか。何百台ものドローンが群制御され、機体のライトで夜空にアニメーションを描いた幻想的なショーに、観衆は釘付けになりました。

スポーツの分野でもモータースポーツやサイクルロードレース、サッカーをはじめ躍動感のある映像は、実はドローンを使った撮影だったなんていうこともしばしば。
操作の熟練が必要になりますが、芸術と掛け合わせることで新たなエンターテインメントが誕生するかもしれません。

ドローン関連企業

ドローンとひとくちにまとめましても、先に挙げた点検や測量に強いドローンや、何かを運んだり補修したりするドローンなど実に多種多様です。今は未だ開発されていなくとも、今後のニーズを先読みし新たなドローンビジネスを生み出すチャンスがあるといっても過言ではありません。

既にドローン市場をけん引している企業の中には、測量のほかに、ドローンの管制システムを整備し、操縦者の目に見えていないところにもドローンが正確に衝突せずに飛ぶよう新たな分野を確立しています。

こうした発想には、ドローンを取り巻く知識や問題点を知っていることが前提です。航空法が制定された2015年からドローンについては日本メーカーより海外メーカーの動きが早いといわれてきました。ドローンをいかに売るかよりも、ドローンを上手に取り入れバリューを生み出すかが重要のようです。

物流

2016年5月、大手インターネット関連企業が千葉県のゴルフ場で一カ月間ドローンの配送サービスを実施しました。人の頭上にものが落下するのを防ぐため頭上には飛ばさない、配送用ボックスの中身が動くとドローンのバランスが崩れるため梱包に工夫をするなどいくつもの課題があったものの、見事配送に成功。

6年後の2022年には高層マンションへの配送実験にも成功しました。積載量や飛行距離の改善、配送用システムの機能を追加するなど機体もシステムもゼロからのスタートでしたがいよいよ始動が現実的になってきたといわれています。

規制の課題はあるものの、空から商品を届けることが可能になれば、過疎地で不便な思いをしている住民や災害時の救援物資搬送など新たなビジネスが広がりそうです。栃木県には集落人口の半数以上が65歳以上である限界集落があります。買い物弱者と呼ばれる高齢者などにドローンを用いた物流が拓ければ助かる人も増えていきそうです。

住宅販売

積極的にドローンを用いて空撮でのPRに成功しているのが住宅販売関係です。人生において一番大きな買い物と言えば住宅を挙げる人が多いと思いますが、失敗したくないという心理にドローンの360度全体を上空から見渡せる映像が上手にそれを払拭しています。

上空から見ることで隣の区画との距離から近隣の雰囲気までわかるのは大きなメリットですし、イメージが掴みやすい強みがあります。例えば高層マンションの場合、階層によって見える景色が異なりますが、景色が売りの場合、平面の写真では伝わりにくい広い範囲を提供することができます。

損害保険

ドローンの普及が高まるいっぽうで、万が一に備えての損害保険プランも各保険会社から商品化されています。自動車同様、機体そのものにかけられる保険と、第三者を巻き込んでしまった対人賠償、機体の墜落で屋根や家屋を破損させてしまった際の対物賠償があります。

こうしたドローン損害保険市場が標準化することは安心安全なことではありますが、操縦ミスや判断ミスを起こさないよう、国で定められたドローン国家資格をしっかり取得し操縦に臨むことが何より大切です。

公共(消防、災害調査)

最後に、公共でのドローン活用について触れておきたいと思います。消防庁消防・救急課が作成した「消防本部における災害対応ドローンの更なる活用推進について」によりますと、令和4年4月時点で、全国で429の消防本部(59.3%)がドローンを導入している状況にあるそうです。

理由としては、大規模災害に限らず、常時発生する災害(火災、捜索救助、NBCや多数傷病者等の特異災害等)に対してもドローンの俯瞰的視点からの情報収集は非常に有用であると書かれている通り、消防本部では、安全かつ効果的にドローンを運用できるよう「ドローン運用アドバイザー育成研修」と「アドバイザーによる普及啓発」の推進を行っています。

具体的な事例としては、「がけ崩れ」が起こった際の状況把握、「火災」の焼損状況の撮影、「山岳救助活動」でのヘリコプター飛行エリア調整および捜索難航箇所の捜索、「火災原因調査」のための俯瞰撮影の4つがあり、私たちの暮らしに大きく関わっていることが分かりました。

まとめ

以上、国家資格となったドローン操縦が活かせるお仕事8選を見てきました。いかがでしたか?
2015年を機に、利用の規制がかかったドローンではありますが、法律で規定されたことで実際にドローン事業の根拠が明確になり仕事がやりやすくなったと言えるのかもしれません。

業務用ということを考えれば、技能のある人がドローンを使うことが義務付けされていくことはもはや時間の問題です。飛ばす技術はもちろんのこと、気象情報、電波、航空法上のルール、トラブル対処、リスク管理をしっかりできることで、はじめてドローン操縦者と言えます。そして、その技能を証明できるのが「無人航空機操縦者技能証明等」の一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士になるわけですから、業務を考える場合には資格(ライセンス)を有することが重要だとお分かりいただけたと思います。

ぜひ手に入れたドローン操縦ライセンスを最大限に活用して、さまざまなお仕事に役立ててください。

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