かつては大がかりだった空撮を、コンパクトな技術にしてくれたドローンは、今後の社会に欠かせないツールとして期待されています。
空撮や警備など「見る」「撮る」「録画する」だけでなく、離島や遠隔地に必要物資を運んだり、被災地に救援物資を運ぶ【運輸】業界で特に注目されています。
ドローンをビジネスに活かしたい、これからドローンでビジネスを展開したいという方も増えてきました。
ドローンは機体を持っていて、技術(資格)を取得していればいつでもどこでも飛ばせるわけではありません。
飛ばすために必要な【3つの申請】と、特に最初にしておきたい【機体登録】のやり方について分かりやすく解説します。
新しく購入したドローンを飛ばしたい、ドローンの操縦をやってみたい、資格を取得したので練習したい……など、ドローンを飛ばしたいシチュエーションは様々。
「どんなときに、どんな申請が必要なの?」、「そもそも申請って何?」という疑問も多く寄せられます。
ドローンを飛ばすにあたり、申請は必要か不要なのかをわかりやすく説明していきます。
申請が必要なケース
機体と飛行させる場所・方法のなかで、申請が必要なケースについてまとめました。
特に、飛行させる場所(許可)と飛行させる方法(承認)は、航空法で定められた【特定飛行】がポイントになります。
特定飛行とは、航空法に定められている4つの飛行させる空域(許可)と6つの飛行させる方法(承認)です。
機体(登録)
●重さ100g以上(バッテリー含む)のドローン
登録は機体と持ち主を紐づけるためのもので、登録を行うと番号が発行されます。
発行された番号を印字したシール・ステッカーを、機体に貼って登録番号がわかるようにするまでの工程が、機体登録です。
バッテリー込みで100g未満の機体や、オブジェとして飾るだけの一切飛ばさない機体、屋内のみ使用する機体は、登録の必要がありません。
飛行させる空域(許可)
●150m以上の高さの上空
●空港周辺の空域
●人工集中地区(DID地区)の上空
●緊急用務空域
また、飛行させる場所については、航空法で定められた特定飛行以外にも、他の法律や省庁・自治体・その他の許可を得なければならない場所があります。
ドローンの飛行許可で詳しく説明します。
飛行させる方法(承認)
●夜間飛行
●目視外飛行
●人または物件から30m未満での飛行
●催し場所上空での飛行
●危険物の輸送(含農薬散布)
●物件投下(含農薬散布)
※上6種類の方法を組み合わせた飛行
申請が不要なケース
ドローンを飛行させる場合も、申請不要なケースがあります。
●屋内のみで飛行
●重量100g未満(バッテリー込)のドローン
●ワイヤーなどでドローンをつないだままの飛行(強度のある30m以下のワイヤー)
以上3つのケースでは、特に申請が必要ありません。
・飛行禁止区域に指定されていない場所で、飛行禁止されていない方法で飛行
以上のケースでは、飛行禁止されていない河川敷で所有者や管理者もドローンを禁止していない土地などです。
また、飛行禁止区域に指定されていない自分の土地から一切出ず、他の法律にも抵触しなければ自由に飛ばせます。
国家資格(一等資格・二等資格)を有する方の場合、申請不要なケースが増えます。
以下のすべてを満たしている場合は、申請が必要ありません。
ただし、航空法以外の法律などで禁止されている場所の場合は、管轄する省庁・自治体などへの申請が必要です。
国家資格(一等資格・二等資格)を有する方のケース
●機体認証を受けたドローンであること
●飛行ルートの下や周辺に第三者が立ち入らないよう「立入管理措置」を講じて「人口密集地上空」「夜間」「目視外」「第三者から30m以内」で飛ばす場合
ドローン飛行に関係する各種法律
ドローンの飛行に関して、申請の要不要が問題となるのは、法律が関係するためです。
ドローンの飛行に大きく関わる法律は、航空法と小型無人機等飛行禁止法ですが、他にも様々な法律が関わります。
法律が関係するのは、ドローンを飛ばす場所・方法によって人やものに危険が及ぶためです。
飛ばす場所 | ・航空法 ・小型無人機等飛行禁止法 ・民法 ・道路交通法 ・各都道府県条例 ・その他 |
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飛ばす方法 | ・航空法 ・その他 |
機体の登録 | ・航空法 ・その他 |
資格(国家資格) | ・航空法 ・その他 |
その他の規制 | ・航空法 ・その他 |
ドローンの機体登録の申請方法
まずは、ドローンの機体登録申請を行いましょう。
バッテリー込みで100gを超える機体を飛ばす場合は、機体登録が義務付けられています。
自分で所持するドローンを初めて飛ばす場合
新たに購入したドローンや、これまで登録をしておらず、飛ばしていなかったドローンを初めて飛ばす場合、ドローン機体登録申請が必要です。
登録していない、100g以上のドローンを飛ばした場合、航空法違反になるため注意しましょう。
初めて飛ばすドローンは、飛ばす前、入手したら機体登録をしましょう。
ドローンの機体登録を行う省庁は、国土交通省です。
オンライン登録と郵送登録が選べますが、オンラインが推奨されており、素早く登録できるためおすすめです。
すでに登録されているドローンを飛ばす場合
すでに登録されているドローンを飛ばす場合は、有効期間が切れていないか確認します。
登録記号が発行された日から3年間は有効ですが、切れている場合は新たに申請が必要です。
アカウントにログインし、新たに登録の申請を行いましょう。
他者のドローンを借りる場合
他者のドローンを借りる場合は、持ち主に使用者の登録をしてもらわなければなりません。
事前にあなたのアカウントを作成し、持ち主に使用者登録をしてもらいましょう。
その際、あなたの氏名を入力するときに、苗字と名前の間に半角スペースを入れてください。
半角スペースが入っていないとエラーになってしまいます。
また、登録済みの他人のドローンを飛ばす場合は、持ち主がすでに登録しているため、借主は機体登録の必要がありません。
ドローンの機体登録をしてみよう—実際の登録手順
それでは、実際にドローンの機体登録について手順を説明します。
ドローンの機体登録は、所持しているドローンすべてで必要です。
飛ばす可能性が少しでもあるドローンは、機体登録をしておきましょう。
機体登録は、有料です。
またトータルで数時間から10日程度かかる場合があるため、飛ばす予定がある方は余裕をもって登録をスタートしてください。
また、久しぶりに飛ばす場合は、以前の機体登録から有効期限内であるかを確認してくださいね。
登録システムにアクセスしてアカウントを作成する
まず、国土交通省のドローン登録システムにアクセスします。
ドローン情報基盤システム2.0という名称ですが、登録システムのトップページです。
今後、ドローンを購入した際の新規登録や登録有効期間の更新申請、所有者の情報変更などを行う際、このトップページが窓口になります。
登録システムにアクセスしたら、アカウントを作成します。
アカウント作成ボタンとログインボタンは同じです。
クリックすると、アカウント作成がスタートします。
アカウントの作成には、以下の本人確認書類のうち、いずれかが必要です。
●マイナンバーカード
●運転免許証
●パスポート
さらに、マイナンバーカードを読み込めるスマートフォン(もしくはリーダー)、確認用・納付用などのメールが届くメールアドレスが必要です。
運転免許証やパスポートで登録する場合は、「eKYC」というオンライン本人確認ツールを利用します。
手続きが最もスピーディーに、かつ安く済むのはマイナンバーカードを利用する場合です。
マイナンバーカードがある場合はおすすめです。
事前に準備しておくべき書類や情報をまとめました。
事前に準備しておくべき書類や情報
●マイナンバーカード・運転免許証・パスポートのうちいずれか1つ
●スマートフォン
●メールアドレス
●ドローンの情報
・製造者名・型式名・機体の種類・製造番号・リモートID有無・機体重量
・最大離陸重量・機体寸法
・改造の概要※改造した機体の場合・機体の画像(全体・上面、前面、側面、操縦装置)
<リモートID外付型の場合>
●リモートID機器製造者名
●リモートID機器形式
●リモートID機器製造番号
アカウント作成が無事完了すると、国土交通省から「【ドローン登録システム】アカウント開設完了のお知らせ」というメールが届きます。
メールにはログインIDが記載されています。今後使用する重要な情報ですので、必ず保管しましょう。
ログインURLをクリックして、ログインIDを入れてログインし、機体登録に移ります。
機体を登録する
アカウントが作成できたら、機体を登録します。
国土交通省から届く「【ドローン登録システム】アカウント開設完了のお知らせ」というメールにある、ログインIDを利用して、ログインしてください。
本人確認を行う必要があるため、マイナンバーカードなどを使用します。
また、ドローンの機体情報も入力します。
その際、リモートIDが外付けの場合は、リモートIDについての情報も必要になるため、手元に用意しておきましょう。
リモートIDは搭載義務があり、搭載されている機体もありますが、ない場合は外付けが必要です。
機体登録が最後まで進むと、「【ドローン登録システム】各種手続き確認のお知らせ」というメールが届きます。
このメールに記載されているURLをクリックすることで、認証が終了するシステムです。
最後にクリックするまで手続きは終了しないため、クリックを忘れずに行いましょう。
手数料を納付する
機体登録手続きが完了すると、国土交通省の航空局で書類や本人確認が行われます。
本人確認書類の種類にもよりますが、1~5開庁日ほどで本人確認が完了します。
本人確認がすむと、手数料納付番号と納付用URLが、アカウントに登録されたメールアドレスにメールで届きます。
メールが届いたら、ログイン画面からログインし、「申請状況一覧」から今回登録する機体を選び、手数料の「支払選択」をクリックして、支払い方法を選びましょう。
手数料はクレジットカード・インターネットバンキング・ATMから納付できます。
手数料はマイナンバーカードで手続きした場合と、運転免許証あるいはパスポートで手続きした場合で異なります。
マイナンバーカードで手続きした場合 | ・1台目:900円 ・2台目以降:890円 |
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運転免許証 パスポートで手続きした場合 |
・1台目:1,450円 ・2台目以降:1,050円 |
登録記号の受け取り・確認
手数料を納付すると、1~5開庁日ほどで「【ドローン登録システム】新規登録完了のお知らせ」というメールが届きます。
メールが届いたらすでに登録が終了し、登録記号が発行されているので、ログイン画面からログインして「申請状況一覧」で確認します。
登録記号の機体表示
登録記号を確認したら、ドローンの機体に表示しなければなりません。
●表示箇所:外部から確認しやすく、簡単に外れない部分
●表示方法:シールや油性マーカーなど耐久性のあるもので表示
●色:機体カラーとはっきり判別できる色
●文字の大きさ
25kg未満の機体・高さ3mm以上の文字
25kg以上の機体・高さ25mm以上の文字
この記号表示が、自動車のナンバープレートと同じ役割を果たします。
シールやステッカーなどに記号を印字して機体に貼るか、油性マーカーではっきりと記入してください。
機体登録は法的義務です
ドローンの機体登録は法的義務です。
機体登録は、ドローンの利用者とドローンの機体を紐づける目的で、国土交通省が機体を登録させる制度です。
ドローンの所有者を管理しやすくし、安全の確保や事故防止などに役立てるために制定されました。
万一100g以上のドローンを機体登録せずに飛ばした場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されますので、注意してください。
100g未満のドローンと研究開発用のドローン、製造過程で飛行させるドローンについては登録が免除されます。
機体認証と型式認証
ドローンには機体登録のほかに、機体認証と型式認証があります。大きな違いは、機体登録は義務、機体認証と型式認証は任意という点です。
機体認証と型式認証は車の車検のように、機体の安全性を検査する制度です。
まだ整備途上の制度でもあり、認証を受けている機体は多くありません。今後の法的な動向を随時チェックしていきます。
ドローンを購入したら機体登録をしましょう
ドローンの飛行に必要な3種の申請と、なかでも先んじて行って欲しい機体登録について詳しく解説しました。
機体登録は法で定められた義務であり、登録していない機体を飛ばした場合罰則もあります。
ドローンは1機ごとにすべて機体登録が必要で、数機保有している方は、100g以上の場合すべてをそれぞれ登録しなければなりません。
一度アカウントを作成して登録すると、サイト上で簡単に別機も登録できるようになり、更新もできるため、オンラインによる登録・管理がおすすめです。
ドローンを飛ばすための申請は複雑なため、慣れるまでは難しく感じると思います。実際の申請方補は次のコラムで詳しくご紹介していきます。