栃木県のドローンスクール ソラリス受講生に聞く「飛躍の一歩」Vol.3 ドローンの将来性を確信 Z世代、元銀行マンの華麗なる転職

卒業生インタビュー 栃木県のドローンスクール

対談イメージ

本校の卒業生や在校生がドローンの何を見据え、資格を取り、どう飛躍していくのかを探る「飛躍の一歩」。

3回目となる今回は、若干26歳で銀行職から建設業に転職した株式会社六洽(りくごう)建設のUAV事業部・村上頌(しょう)さんにお声がけさせていただきました。二等無人航空機操縦士ライセンス取得後の「今」について、本校の三品正樹インストラクターも同席し、村上さんのリアルに迫ります。

株式会社六洽建設村上さんイメージ

今回の対談相手
株式会社六洽(りくごう)建設 UAV事業部
村上頌(しょう)さん
二等無人航空機操縦士技能証明コース卒業

ある出会いをきっかけに

村上さんは大学卒業後の2021年4月、花形職業として人気の高い某銀行へ就職しました。人当たりも良く、勉強熱心なところが評価されたのでしょう。配属先は営業部。中でも法人向けの営業マンとして経営者層と接する機会をたくさん持つようになります。

いくつもの企業、何人もの経営者を相手に、ときには煩雑な手続きに頭を下げ、ときには自分が知らない世界を教えてもらう充実した時間を過ごしていた、そんなある日。

株式会社六洽建設の髙野(こうの)英也代表取締役と出会います。

六洽建設は公共および民間での橋梁補修・補強工事、道路景観舗装など地域のインフラ整備を担う会社でした。
もちろん建設の分野は専門外の村上さん。分からないこともたくさんありましたが、これまでの経験からまったくのド素人であったわけでもありません。にもかかわらず髙野社長と話しをするうちに、漠然と自分のアンテナに何かが引っかかる感覚がありました。

株式会社六洽建設村上さんイメージ

三品:髙野社長のどんなところに惹かれたのですか?

村上さん髙野社長とお会いしたのは会社を興されて間もないころでした。はじめに興味をそそられたのは、従業員の皆さんが活気にあふれていたこと。髙野社長ご自身も40代でいらっしゃったので、それが理由かな?なんて思っていました。
ある日、事業のひとつでもあるUAV(ドローン)の利用価値について髙野社長より説明を受けた際、その力の入れかたが半端ではなかったことに衝撃を受けました。もちろん、似た業種のお客様とお会いすることも多くありましたが、ドローンに関してアグレッシブな取り組みをしていらっしゃった髙野社長の姿はとても印象に残り、惹かれました。

いくつもの企業を見てきた銀行営業マンの決断

ドローンという存在を知ってはいたものの、ドローンが持つ可能性、利便性、多様性を多角的に広げている髙野社長に触発され、次第に村上さんもドローンの可能性を考えるようになりました。
「あれもできるのではないか?」「これもできるのではないか?」

その想いはやがて大きくなり、気が付けば、ドローンを駆使して建設業界を牽引していきたい気持ちへと膨らんでいきました。

令和6年7月、3年3ヶ月勤めた銀行を辞め、満を持して株式会社六洽建設へと転職したのです。

「ドローンはくる!」転職を決意したポイントは3つ

三品:転職には相当な覚悟が必要だったと思います。どのようなところが転職のポイントになったのですか?

村上さんそうですね。悩んだ部分も確かにありましたが直感的に「ドローンはくる!」と決めたのが答えだと思います。
そのうえで転職しようと思ったポイントは3つあります。

1、インフラ整備の将来性
2、Z世代だからこその強み活かせる
3、自分の想いを形にする伸びしろがある

村上さん:まず、建設業界をはじめ六洽建設が担うインフラの整備は地域にとってなくてはならないものです。橋や道路の修復は地域の皆さんの安全を守ることにつながりますから。この先もずっと残り続けるであろう建設業界に魅力を感じたのが1つ目の理由です。

2つ目はZ世代だからこその強みを活かせる点です。
現在26歳の私は、生まれた時からスマートフォンやインターネットが普及しているデジタルネイティブな環境で育ちました。そのせいか、私自身、コンピュータやソフトウェアを使うことに抵抗がありません。
むしろ、私は、仕事をいかに合理的に進めるかを考えるタイプなので、前職でもITやICTを上手に使い業務短縮を図るべきだと常々思っていました。

そんな私が髙野社長よりドローンの話しを聞いた際は、「ドローンを使わない手はないではないか!」と思ったのを覚えています。

ドローンイメージ

村上さん例えば、従来の橋梁点検では足場の組み立てから始まり専門スタッフによる点検が主流だったのに対し、現在ではドローンを飛ばし撮影、ソフトウェアで処理することで作業のすべてが完結します。足場費用も点検スタッフの拘束時間も削減できるのですから、使わない手はないですよね。

Z世代のデジタルネイティブだからこそ、ドローンを飛ばすことも、付随する新しいソフトウエアの操作に苦手意識がない点もポイントでした。

また、今ではドローンの使用が当たり前になっている建設業界ですが、それをどう使いこなすかはそれぞれの現場の判断に任されています。

ドローンやICTの活用は人材不足と言われている建設業界にプラスをもたらすのも事実ですが、生かすか否かは結局のところ人です。「本当はこれができたらいいのに」「このデータを扱えたら」という願望があっても、その先に進めないこともあるのではないでしょうか。

そこで私は、建設現場の「やりたくてもできないジレンマ」を、デジタルネイティブの強みを生かして解決していきたいと考えました。六洽建設のUAV事業部ではそういった点に力を入れている環境でしたので、そこに魅力と将来性も感じました。

3つ目は、今まで黒だったものが一気に白へと変わっていくこの業界で、自分の提案次第で白へと変えられる伸びしろが無限にあることにやりがいを感じています。
あとは単純に、アットホームな職場の雰囲気もよかったですね。

ーーこうしてこれまでとはまったく勝手の異なる建設業界に転職を果たした村上さん。大変なこともありますが、笑顔が絶えません。

技術向上に努めながら業務をこなす

三品今はどんな仕事をしているのですか?

村上さん橋梁の補修・点検業務ではドローンを活用した写真撮影、SFM処理(複数の写真から対象の形状を復元)、オルソ画像処理(写真を真上から見られるようにした地理空間情報のある画像を作成)を行っています。ドローン操縦技術、それぞれの専用ソフトウエアを使いこなす技術向上に努めています。
施工実績と完成した3D画像の一覧はこちら

SFMデータイメージ

地域の文化財を守ることにも一翼担う

村上さんまた最近では、髙野社長が理事長を務める一般社団法人UAVインフラ点検技術研究会の「地域の文化財を守るミッション」にも参加しています。
ひとことで言うなら、文化財のデータ化です。
まだまだ認知の低い分野ですが、データ化しておくことで先人が作った文化財を寸分違わず復元することができます。

昔の建物には図面などが残されていることも少なく、写真や記憶を頼りに復元するしかありません。
でも、ドローン撮影をし、そこから起こした3Dデータがあれば、柱の径の微妙な差も、複雑な意匠も再現することが可能になるんですね。ですから、多くの人にそれを知ってもらいたいと思います。

ちなみに今、栃木県の重要指定文化財に指定されている某神社さんの本殿をデータ化させてもらっています。

また、どうせやるからにはデータを復元目的だけでなく地域の文化財PRにも使っていきたいと考えています。平面的な写真ではなく、まるでそこを訪れ自分の目で見ているような立体的なデータにすることで、海外問わず多くの人が文化財に触れることが出来るからです。
ただ、一筋縄ではいかないのが現実です。

肉眼なら本殿の外観から中へとスムーズに入っていけますが、それをデータで表現するには難易度が高いですし技術力も必要。ドローンで撮った写真をソフトウエアに読み込ませ、写真データをスムーズにくっつけられるかが肝です。

三品:手応えはありますか?

村上さんなんとか頑張っています。
ドローンで撮影する写真が多ければ多いほど正しい情報が得られるのですが、それだとパソコンの処理時間に膨大な時間がかかりますし、本殿の壁に似た景色が続く場合どの写真がどこか判断がつかなくなってしまいます。日差しの当たり方でも写真がうまくつながらないこともあります。

私たちが使っているソフトウエア自体なかなか珍しいものなので、独学でトライアンドエラーをしていくしかありません。でも、絶対に成功させてやるぞと思いながら、当初は25,000枚ほどあった写真データを1,500枚まで減らして、徐々に理想とするデータに寄せていっています。

これも根っからの合理主義「もっと簡単にやれることはないか」の極みかもしれません。それに自分たちで唯一無二の文化財を守れるなんてカッコイイじゃないですか。

三品:本校の受講生がこうして活躍していることを嬉しく思います。受講のときもいろいろ勉強熱心だったけれど、さらにレベルアップしている感じですね。

村上さん:パソコンに向かって作業しているときは集中し過ぎているかもしれません(笑)

三品:ドローンの操縦も上手でしたよ。センスがあった。

村上さん:担当してくれた講師のスグルさん(山本秀)とは同世代だったこともありすごく楽しかったです!

独立も視野に入れて邁進

三品:最後に今後の展望を教えてください。

村上さんまだ転職して間もないのに生意気かもしれませんが、ゆくゆくは独立をしたいと考えています。手に職をつけられるし将来性もある。私より若い世代もきっと関心を持つと思うからです。
髙野社長からも、「それなら栃木県の建設ドローンについては村上に聞け!と言われるようになりなさい」とアドバイスをもらっています。

日常的には、「これもドローンでできる」とアイデアを見つけたら、それを髙野社長に伝わるようにプレゼンをします。調べた内容が浅く却下されることもありますが、それも自分の糧にしています。

ドローンは技術を学んだところからがスタート。独立したとしても社長を見習い、見逃しているドローンの可能性を貪欲に見つけてアグレッシブに挑戦し続けたいと思っています。既存業務の合理化だけでなく、アイデア次第で新しい業務さえも生み出し地域に貢献したいです。
そしてサラリーマン時代には出来なかった性能の良い車に乗って趣味のドライブを楽しみたいですね。

若干26歳の村上さんの挑戦は始まったばかり。多くの企業を見てきた村上さんがドローンと共に歩む建設業界を選んだのは、自分がその分野で独立する姿までイメージできたからなのかもしれません。
他人との調和や輪を大切にすると言われているZ世代の村上さん。
これからどのようにドローンを駆使して建設業界を牽引していくのかますます目が離せません。

取材協力
株式会社六洽建設
岡本事業所
〒329-1105 栃木県宇都宮市中岡本町3023-16
TEL:028-612-8701
FAX:028-612-8702

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